GlobalLogic社買収
日立製作所は3月31日に、米国シリコンバレーのIT企業「グローバルロジック」を96億米ドルで買収すると発表しました。
日立は、産業機器や鉄道、家電など日本を代表する製造業大手だが、近年は単純なモノ売りから脱し、モノとインターネットをつなぐIoT分野などデジタル企業への転換を進めています。
今日はこの日立の戦略について、見ていきます。
日立のイメージ
IoT基盤の「ルマーダ」を先進的な社会インフラとして、デジタルトランスフォーメーションを世界規模で加速させようとしています。
このルマーダ事業により、日立のIT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5セクターおよびオートモティブシステム事業とのシナジーを創出します。
ルマーダ事業を推進させるため、世界14か国に約2万人以上の従業員を擁するグローバルロジック社の買収に至っています。
同社は、通信や金融、自動車、ヘルスケアなど欧米の大手企業を中心に400社以上の顧客を持ち、企業の業務システムの開発などを手掛けています。 Chip-to-Cloud(チップからクラウドまで)に対応する高度なソフトウェアエンジニアリング技術に加えて、エクスペリエンスデザイン力や多様な業界に関する専門知識を有していて、新しい収益源の創出、エンドユーザーの価値向上に貢献しています。
日立の課題
日立製作所は、産業のデジタル化を前提に5セクターへの「選択と集中」を進めています。企業のデジタル化を支援するために製品の納入だけにとどまらず、センサーをを用いた情報収集やソフトウェアによる分析、メンテナンス支援など各種サービスのための強固なソフトウェア基盤が必要となっています。
今回、グローバルロジック社買収により日立の世界展開を目論んでいるが、果たしてすんなり達成できるかが問題となります。
現状、日立のITシステムについては、7割が国内向けとなっており、海外での営業力や顧客基盤を持っていないのが実情です。グローバルロジックの技術・文化を自社のインフラに取り込んで、世界に通用するソリューションを提供する必要があります。
すでに市場では、シーメンスやGEなどの競合が先行しています。また、中国製造2025の果実を持って、新興市場に中国勢も入ってくると思います。
そういった中で、グローバルに通用する営業力のある人材が不足しており、どう確保していくかがポイントとなってきます。
最後に
買収額96億米ドルについて、グローバルロジック社は28年度には調整後EBITDA10億米ドル超を目指しており、充分その価値ありと日立は見ています。
日立の事業とのシナジーも含め、更に利益は出てきますが、スピードも問題になってきます。28年と言わず25年ぐらいには変化した姿を見せてほしいものです。
日立のニュースリリース
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/03/f_0331.pdf
説明動画
最後までお読みいただきありがとうございました。
※投資は自己責任でお願いします。